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写真家・濱田英明が語る「人の心を動かす写真の撮り方」

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2012年に35歳でWEBデザイナーから写真家に転身。2012年に台湾で写真集『Haru and Mina』を出版。その後アメリカのライフスタイル系マガジン『KINFOLK』や台湾の『THE BIG ISSUE』など海外の有名雑誌の他、日本でも雑誌や広告など幅広い活動を続けている濱田英明氏。 

写真家の濱田英明さんの写真

9/2より台北小器藝廊(+g)にて始まった個展『ONE DAY- LIFE WITH A DOG - 』に合わせて来台した濱田氏に、「今回の個展と人の心をほぐす写真の撮り方」についてお話を伺いました。

ONE DAY展覧会ポストカード

 

「実は生き物と一緒に暮らした経験はないんです」

「犬と人の暮らし」をテーマとした写真作品の個展が台湾でもスタートしました。最初この企画がスタートした時、どのような気持ちでしたか。

まず僕は犬をはじめ生き物を飼った経験がないんです。生き物と一緒に生活をしたことがない。でもそんな僕だからこそ撮れる距離感、表現があるんじゃないかなと思って。

台北でインタビューに答える濱田さん

「距離間」ということを僕はとても重視してて。この距離間というのは心理的な意味でも物理的な意味でもあります。被写体とうまく間を取り、そこに自分の驚きや感情を込めて表現するように心がけています。

 

ー『ONE DAY』のどの写真からも、犬と飼い主さんの絆が伝わってきます。それぞれのご家庭で撮影するときに特に気をつけたことはありますか?

カメラを意識するとやっぱり、人も犬も緊張しちゃうので。ゆったり時間をかけて色々話しながら撮影をしました。後は意識して物理的な距離をとるようにしましたね。まさに「犬と人との生活」を覗き見するような感覚で、シャッターを切りました。

濱田英明さんが撮影したOne dayONE DAY フォトブックより

自分の子供を撮るときでも、今回のような動物を撮るときでも、その場をコントロールしないんです。そして自然の流れの中で、僕自身が「あ、今の笑顔すてきだな。」とか「わ、驚いた〜。」って心が動いた時にシャッターを切る。実際、言葉では表現できないことっていっぱいあるから。僕の場合はそんな言葉にできない瞬間とか空気感を写真という形に変換しているだけだと思います。

Haru and Mina濱田さんが2人のお子さんを撮影した『Haru and Mina』より

丁寧に切り取った瞬間が写真という形になって、その結果色んな人が色んなことをその一枚の写真から想像してくれているんだと思います。だから、今回の「犬との暮らし」がテーマの写真でも、自分の子供を撮影するときでも大きな違いはなかったですね。

 

「自分じゃなくてもいいことはしない」

ー家族写真からキャリアをスタートし、今では雑誌や広告にまで活躍の場を広げられていますね。

そうですね。最近は商業写真の依頼も増えてきました。自分がすごくラッキーだなと思うのが、ほぼ全ての依頼に余白があるということ。つまり自分の視点を求められる仕事が多いです

もちろん商業写真の場合はその商品の魅力を知ってもらうのが目的だし、最初にある程度の形はすでに企画されています。しかしそこからどうやって撮影して形にしていくかに関しては、任せられることが多いです。もちろん僕なりの表現方法を期待されているので、プレッシャーは感じます。でも僕より「キレイ」に撮れる人なんて、山ほどいると思っていて。なのでただ「キレイ」なんじゃなくて、どんな商品や現場であっても僕なりの空気感を、視点を加えたいんです。


濱田英明氏が海外で撮影した写真

だから撮影対象のことを僕はあんまり調べないんです。予備知識がないまま現場に行って、そこで感じたことを撮っていくという感じ。自分なりの驚きとか新しい発見がないと、どこにでもある誰にでも撮れる写真になってしまうんじゃないかって。

 

「いつでも、答え合わせをしたくない」

もしWikipediaとかを使って、撮影対象のことを細かく調べて、過去に撮影されたものをインプットしてしまうと、実際に自分が向き合った時に、予習したことが合っているかの答え合わせになってしまうと思うんです。


濱田さんがドイツで撮影した写真

例えば旅行でも僕はガイドブックとか見ないし、できるだけ予備知識無しでびゅーんと行っちゃいます。例えばパリといえばエッフェル塔じゃないですか。それでガイドブックを見て、そこに行こうと決めるとする。そうすると現地に行った時に、ガイドブックに載っているエッフェル塔を探して、本と同じ姿かを答え合わせしてしまうと思うんです。

でも何も知らずに現地に行く、そして引き寄せられるようにしてエッフェル塔に行く。そこで感じたものを写真に収める。同じエッフェル塔の写真でもそこまでのプロセスは全然違う。でもそのプロセスが写真を見る人の心を動かすと思っています。 

 

「台湾には大きな恩を感じています」

ー最近台湾によく来られている印象があります。

今年は特に色々縁があって。だいたい2ヶ月に1回位は来ているかも。でもずっと仕事をしているから、まだゆっくり台湾を味わえていません。


 

ー濱田さんにとって「台湾」を一言で言うと?

「おおらか」。日本は前もっていろんな計画がされて綿密に準備して…って感じだけど、台湾は現場でどんどん決めていくという印象。自分が写真家としてキャリアをスタートしたのも、台湾のメディアが大きく取り上げてくれたから。台湾という場所やここにいる人に大きな恩を感じています。

 

「だったら今やるって気持ちが強い」

ー日本全国そして海外を行き来しながら活動をされていますが、行き詰まりを感じたとき、どのように解消していますか?

もともとワーカホリックな傾向はあります。それに今は色んな仕事をして、色んな場所に行って、色んな人に会っているけど、こんな状況はこれから10年も続かないと思ってて。だったら今やるって気持ちが強いです。


あと、僕は移動中は何にもしないようにしている。飛行機に乗っているときとか、新幹線で移動しているときは、Netflixでばーっとドラマや映画を見たり、Spotifyで音楽を聞いてる。Spotifyはスゴイね。自分の好みドンピシャの音楽を勧めてくる(笑)。

家族の時間もすごく大事にしています。特に今年、上の子が小学校6年生なんですよ。もう親子で親密に一緒に遊べるのって今年が最後なんじゃないかなって。中学生になったら親とべったりなのはおかしいと思うし。

どんどん自我が目覚めてその中で親子の関係性も変化していく。親子っていっても本当に親密に一緒にぎゅっとくっついて、わーって遊べるのって5年間くらいじゃないかな。人生80年あるとしてその中のたったの5年。だから一緒にいれるときはできるだけ子供と過ごすようにはしています。



『Haru and Mina』より

ー最後にPinkoiで活動をしているデザイナーに何かアドバイスがありますか?

僕は今写真を撮っていて、それでもうこの世の中に「誰も撮ったことがないもの」って存在しないと思っています。もう撮り尽くされている。その中で僕ができることって、僕の視点からどう撮るかということだと思うんです。同じ物や人でも、絶対に人とは違った視点から撮りたいって気持ちは常に持っていますね。

もちろん誰かのスタイルを真似るところから入ってもいいと思う。でも自分の視点とか自分の心の動きとか、言葉では言い表わせられない個性をもっともっと作品に込めてほしい。そしてその自分なりのプロセスを大事にして欲しいと思います。そうやって丁寧に作られたものは絶対に、時が経っても人の心をほぐす力を持っていると思うから。



濱田さんが撮影した「犬と人の暮らし」の様々な場面たち。犬と一緒に暮らしている人は、そばにいる犬をより一層愛おしく感じられる。犬を飼ったことがない人はきっと「犬と暮らす生活って悪くないな。いいな。」そんなふうに感じるはず。ぜひ台北に期間中来られることがあれば、今回の個展に立ち寄って濱田さんのやさしい眼差しを感じてみてください。

 

〈ONE DAY LIFE WITH A DOG〉

期間:9/2(土)〜 9/17(日)12:00~20:00
場所:小器藝廊(+g)
住所:台北市赤峰街17巷4号

濱田英明さん
公式HP:http://hamadahideaki.com/
Instagram:https://www.instagram.com/hamadahideaki/
写真集:ONEDAY -LIFE WITH A DOG- 

 

写真提供:濱田英明
テキスト:Yoko、インタビュー写真:Kat

記事のカテゴリー:編集部のおすすめ

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