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ストーリーではなく、デザインを評価してほしい:ARROデザイナー 渡辺奈菜

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台湾で編集者をしていると、台湾人クリエイターに、日本では自分が作った作品を、どのように広めていけばいいのか聞かれることがある。特にネット上では美しい写真とわかりやすい説明は必要不可欠。そしてあとは、その商品にまつわるストーリーを伝えるべきだと私は答える。

でも今、日本の消費者はモノにまつわるストーリーを求めすぎていないだろうか? そのモノ自体の価値を自分の感覚で判断することを、ないがしろにしていないだろうか。

こんなことを、今回ARROの渡辺さんとお話しをして強く感じた。作った人のストーリーではなくインスピレーションやアイデアをもう一度しっかり感じるべきだと。

 


 

輝かしいキャリアよりも、自分のこだわりをとことん追求したい

幼稚園児の頃から、ファッションの仕事がしたいと夢を見ていた渡辺さん。ファッションを専攻されたのち、パリコレ常連のきっと洋服に興味がない人たちでも知っている、ハイブランドでデザイナーとして働かれました。しかし渡辺さんは独立して、自分のアクセサリーブランドを立ち上げることを選びます。

 

ー どんなきっかけで、大手のファッションブランドを退職しようと思ったんですか?

渡辺:
勤めていたときも、大振りなアクセサリーや刺繍を使ったアイテムを作ったりしていました。それが楽しくて、作っているうちにもっと、今作っていることをテクニック的に発展させたいなという思いが強くなったんです。

あとは当たり前ですが、そのブランドの中では自分が表現したいものを100%出すことは不可能。だから私の中では自然な流れで、自分のブランドを立ち上げてみようと考えになりました。

 

ー 最初はどんなことからアクションを起こしましたか?

渡辺:
まずは浴衣の製作からはじめました。カラフルで自分の好きな色を閉じ込めたような。

 

ー 今の『ARRO』で販売されているアクセサリーではなく?

渡辺:
最初は浴衣を作って、百貨店の催事などにも出ていたんですけど、ビジネス的に厳しくて。その頃浴衣と一緒にアクセサリーも作っていたんですが、アクセサリーなら小さいし一人でも続けられるんじゃないかなと。

 

ー 一人でも何かを作って発信することは辞めなかったんですね。

渡辺:
むしろ、一人でアクセサリーを作るほうが自由でいいかなとも思っていました。それに奇抜でカラフルなものも洋服や浴衣なら、生活の中に取り入れにくいですが、アクセサリーなら使ってくれる人も多いと思って。

 

自分が好きな世界観を、アクセサリーを通して世界の人と共有したい

ー 『ARRO』の作品は唯一無二の世界観がありますよね。デザインをする上で参考にしていることはありますか?

渡辺:
昔から色んな国の伝統的な民族衣装を見るのが好きなんです。旅先でも民族衣装をついつい探して歩いてしまいます。

 

ー 確かにどこかはっきり分からないんですが、異国のエスニックな雰囲気はすごく強いですね。

渡辺:
そうなんです! お客さまからこれは中国の伝統的な模様ですか? とか、インドの民族衣装ですか? なんて質問を受けることがあります。実際には特定の場所や地域から影響を受けている場所ではないんですが、私が好きな世界観が伝わっているんだと思うと嬉しくて。

渡辺:
それとARROの商品は「色」にかなりこだわりを持っているんですね。色出しを考えるときに、インスピレーションの源になっているのは、植物図鑑や水族館にいる魚です。特に南国の動植物は色鮮やかで、いつも驚きと新しいアイデアを与えてくれます。

 

ー 制作段階ではどうやってこだわりの色を商品化していくのでしょうか?

渡辺:
実際に製作の段階に入ると、色見本を見てイメージを固めていきます。ARROの商品は一つのシリーズで最低でも5色展開しています。色組みは本当に難しいんです。糸のタイプでも色の出方は変わりますし、あとは糸見本と刺繍作品でも見え方は違います。

何回も工場に試作品の制作をお願いをして、やり直しをしてもらうこともあるんです。この工程が一番楽しいけど、大変かもしれないです。

 

ー 渡辺さんのデザインが商品の形になるまでには、刺繍工場との密接なやりとりがあったんですね。

赤系だけでもこんなに多くの糸の見本があります

渡辺:
刺繍作品のスタイルが決定したら、工場からパーツが送られてくるので、自宅のアトリエで縫い付けていくんです。この作業自体はそんなに手間がかかるものではありません。

いくつものパーツからひとつのアクセサリーができる

 

ストーリーではなく、デザインをフェアに評価してもらいたい

ー ARROは販売数の8割が海外からの注文だと伺いました

渡辺:
そうですね。やはり海外の方の方が「デザイン」に対して、フェアにしっかり評価をしてくれるからかなと思っています。


ー デザインをフェアに評価ですか?

渡辺:
今自分でブランドを立ち上げて思うことが、日本では「デザイン」そのものに対する評価ってあまりしてもらえない気がしていて。どちらかというと、すべての工程を苦労しながら手作業でやっているみたいなのが、価値があると思われやすいというか。

 

ー 海外の人は違う?

渡辺:
そうですね。私の商品を見て気に入ったらすぐに好きって言ってくれる。工場で作ったことや、その商品が生まれる背景を一切気にせず、ただ見た目や自分の好みだけで判断してくれるのが嬉しくて。

日本ではどうしても、0.数ミリの繊細な職人さんの技術や、精巧さが評価されます。でも、海外ではこの色がきれいとか、あなたのアイデイアが好きと言ってもらえます。



ー 今のお話すごく考えさせられます。私たちメディアも、この技術が完成するまで苦節何年とか、そんなストーリーばかりを伝えがちかもしれません。

渡辺:
日本はある意味モノに対する捉え方が、独特だなと思います。海外の人は逆に0.数ミリの違いなどは気づけないのかもしれません。どっちがいい悪いではない。ただ私は苦労した話や技術的なことよりも、色やデザインをもっと楽しんでもらえたら…そして好きになってほしいと思っています。

自分の作品が受け入れられる場所をさがす

ー 今後渡辺さんがもっとやってみたいなと思っていることはありますか?

渡辺:
日本はもちろんなんですが、もっと海外に販路を広げていきたいと思っています。私の商品は奇抜でカラフルな物が多いし、蛾や蛇のような日本ではあまり見ないモチーフの商品も多いです。

なので、日本の大衆受けを狙っていくというよりは、自分が本当に作りたいものを100%出し切り、それが受け入れられる場所を探すような感覚です。

 

ー 本当にARROが好きだ! という人の手に渡って欲しいということですね。

渡辺:
自分の好きという感覚を私も含め、みんながそれにもっと忠実になれたらいいですよね。


  

デザイナーである渡辺さんの言葉を聞いて本当にドキリとした。

書き手として、今まで作り手の苦労話にスポットライトをあててばかりいたのではないかと。

そして消費者としても、事前にいろんな情報や口コミを調べて、自分の直感を信じることが最近できなくなっていたことを。自分の感覚よりも、モノにまつわる背景ばかり見ていたかもしれないことを。

 

さぁ、次の買い物。

自分の五感と直感だけをたよりに、製作者のアイディアに敬意を払って、お金と交換するものを選ぼう。そんなことを心に決めた、渡辺さんとの時間だった。

 

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インタビュー・テキスト・写真:東 洋子
協力:三谷 朗裕

 

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記事のカテゴリー:インタビュー

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