凍頂煙嵐

日光萎凋の段階で、蘭の花のような香りがそっと現れ始めます。それはまるで、山風に吹かれる花びらがゆっくりと開いていくかのようです。揺青（ようせい）の工程では、茶葉を何度も優しく揺らし、静置することを繰り返すことで、花の香りが葉脈の中でゆっくりと開花し、清らかで明るく、自然な香りを引き出します。殺青後の香りはさらに生き生きとし、その後の正確な揉捻によって茶葉は美しい形状となり、香りがしっかりと閉じ込められます。 最後に、凍頂烏龍茶特有の弱火でのじっくりとした焙煎が施されます。焦らず、慌てず、まるで山の中の時間の流れのようにゆったりと。この微焙煎は香りの輪郭を引き締め、蘭の香りが拡散することなく、茶湯に温かみのある基調を加えます。口に含むと、花の香りは濃厚でありながらしつこくなく、甘みは軽やかでありながらも落ち着きがあります。後味には武夷品種特有の奥深い質感が現れ、全体としてより立体感があり、何煎も楽しめるお茶に仕上がっています。 これは、伝統的な製茶技術の美しさを継承しつつ、山林の息吹をも閉じ込めたお茶です。鮮やかな花の香りを楽しみつつ、しっかりとした奥深さを求める方にぴったりです。一口飲むごとに、凍頂山の風、霧、そして花の香りをそっと口元に運んでくれるような体験を味わえます。