ブレスレット。黒。透。寂間

ファッション界のゴッドマザー、川久保玲がこよなく愛する黒。長年にわたり、コムデギャルソンは黒と非対称性を用い、「無」と「間」の中に侘び寂びの美学理想を追求してきました。その哲学に触発され、私たちはクリスタルと銅線で「黒と黒」の美しさを表現しようと試みました。まず、天然の針状結晶でワイルドながらも秩序を感じさせるブラックルチルクォーツと、天然の痕跡が鮮やかなオブシディアンを選び、基調としました。そして、透明なクリスタルを不規則に散りばめることで、光の映し出す「黒の間」と「余白」の美しい瞬間を表現しています。 δ 「浮光掠影（ふこうりゃくえい）」とは、物の表面に反射する光、そしてその光が反射した後に一瞬で消える影のこと。あなたにも、そんな記憶はありませんか？光と影の間に、人と物の間に、美の本質的な風景が垣間見えるような瞬間が。そしてそれは一瞬で過ぎ去り、次の瞬間にはもう百年が経っている。 それは瞬間的な、曖昧な印象で、名状しがたいものです。 「浮光掠影」シリーズでは、複数の異なるクリスタルと金属を用い、時に鏡像のように、時に互いを引き立てるように多層的に組み合わせることで、クリスタルと光の屈折における共生関係を、アクセサリーをプリズムとして考察しています。一瞬の光と影が映し出し、流れる光の中から溢れ出し、絶えず変化し流動する美しさを捉えようと試みました。