食字餐桌 - 増補版

憂鬱な気分の時は、ジャムケーキロールと紅茶で一息。遠い故郷を想う時は、陳皮入り小豆汁を一口。異郷で故郷が恋しい夜には、大地魚で出汁を取っていないワンタンを一杯。孤独に浸りたい時は、何もないところからパスタを一皿…欲望が冷めないうちに、ぜひ味わってください。『食字餐桌』は、文字の中に秘められた、やがて消えゆく味と感情を追体験させてくれるだけでなく、食に関する知識や情報も丁寧に教えてくれます。村上春樹がどのようにパスタを調理したかご存知ですか？『胭脂扣』に登場する最も毒性の強い毒はアヘンではありませんが、それが何だか知っていますか？『烈佬傳』には実は様々なご馳走が散りばめられていますが、お気づきでしたか？『ブロークバック・マウンテン』のカウボーイたちが恋を語らう時に飲んだワイルドコーヒーは、どのように淹れるのか、覚えていらっしゃいますか？鄒芷茵がこの本の中で一つ一つ教えてくれます。 読書と思考でお腹がますます空いてきたら、本書には12の簡単な軽食レシピも掲載されています。食材を用意して手を動かせば、異なる時代と繋がり、料理の記憶へと飛び込むことができます。温かいうちに、頭の中の幻想と欲望を一つ一つ実現させ、読書があなたの胃と心を満たしてくれるでしょう。 郭詩詠、陳子謙、葉梓誦が心を込めておすすめします！ 推薦の言葉： 本書は食に関するエッセイとして、著者の記憶、日々の出来事、感情から生まれる一方で、豊かな知識と読書経験に基づいています。芷茵は国内外の文学やポップカルチャーを自由に行き来し、施耐庵、魯迅から張愛玲まで、カフカ、ヘミングウェイから村上春樹まで、シャーロック・ホームズ、機動警察から湯川学まで、異なる時代や国のレシピをさりげなく引用しています。口にした食べ物から読んだ本を思い出し、文字の行間にある手がかりから人々の五感を再現する。食べることと読むこと、互いに引き合い、最後には一体となるのです。——郭詩詠（香港の学者・作家） 芷茵の筆致は生き生きとしており、知識の海をまるで魚のように自在に泳ぎ回り、一つの奇妙な比喩で天地を駆け巡ります。「ワンタンの歳月」では、香港を離れた詩人の郷愁を描き、ワンタンから東洋の真珠を連想させるのは見事な表現です…。「ワンタンは平たく丸く、形はあまり左右対称ではない。表面はでこぼこで皺が多く、少々枯れた東洋の真珠だ。」東洋の真珠はすでに古びた比喩ですが、「あまり左右対称ではない」、「でこぼこで皺が多い」、さらには「枯れた」という形容詞と組み合わせることで、その美しいイメージは一掃されます。——陳子謙（香港の学者・作家） 『食字餐桌』に書かれているのは、ごく日常の光景や個人的な些細な出来事が多く、そこから様々な文学や映像作品へと展開していきます。作品の中の食のシーンも、対照されることで豊かになり、一頁一頁のレシピとなり、生きる欲望、時代の味、感覚の記憶を宿しています。——葉梓誦（『SAMPLE』誌編集長）