露光 – 李嘉儀エッセイ集

旅は、度重なる覚醒。 反芻によって紡がれた、記憶の書、救済の書。 ❝このすべてがやがて最後の銀白色へと帰する前に、死と忘却が訪れる前に、私はこのような姿勢で生きることができるだろう。それは、私自身を認識するため、そして証明するためだ。これは私だけのものである風景、これだけが私が見、感じ、経験したすべてなのだと。これは私の露光。 これは私にとって、ただ一度きりの露光なのだ。❞ —〈露光〉 世界がたとえ薄暗くとも、世界を見つめる目は澄み渡り、冷静でなければならない。そうして初めて、私たち自身の目だけが捉えた記憶を認識できるのだ。 著者は執筆活動を始めて以来、ラスベガス、バンクーバー、ビクトリア島、タイなどで、長短さまざまな旅を経験してきました。旅の途中や往復の合間に、著者は優しく澄んだ眼差しで、自身と他者の人生を静かに見つめ、記録し、細やかな筆致で歴史と個人の運命に問いかけます。 旅はそれ以来、度重なる覚醒となりました。目の前の風景が過ぎ去り、記憶は棘のある光線を放ち、かすかな痛みを伴いながら、著者は自身の家族の秘められた物語や個人的な苦悩を振り返ります。詩的な言葉の間に傷跡を見つめ、人生の真の姿、そして人と人との間のしがらみを感じ取ります。休息の時には、旅人として人々の背後に退き、静かに他者の物語を観察することを試みます。 本書には旅にまつわる長編エッセイ8編が収録されており、これらは著者が執筆活動を始めて以来の厳選された作品、あるいは受賞作品です。また、短い読書記録5編が随所に挟み込まれ、読者は著者と共に道を読み、道を経験することができます。 推薦の言葉 この本には「劇場」がない。あるいは、想像されるような「劇場」、エッセイというジャンル特有の、しばしば上演される経験の劇場は存在しないのかもしれない。本書が示すのは、経験の現場の細部というよりは、むしろ経験の現場に向けられたビューファインダー、その内部部品の回路と折り目である。 —言叔夏（台湾作家） 『露光』は、より直接的に生命を語り、歴史に介入する。そして変わらないのは、常に光の束を見つけること、それが仄かなものであれ、強烈なものであれ。 —王証恒（香港作家） 物語が蔓延する旅路において、身体は幾重もの境界を飛び越えなければならない。そうして心は不意の脆い瞬間に遭遇し、言葉にならない深い傷に耐え、初めて、日常の風景の中に宿る微かな光、熱情、悲しみ、美と悪が混じり合ったものを見分けることができる。時は揺らぎ、あなたはこのような言葉、このような文の配列をもって、歌のように問いかけねばならない、あの長い夜や永遠の昼の間、何度もすれ違ってきたあなた自身、愛と希望に灼かれた私たちを。 — 李智良（香港作家） これは救済の書である。揺れ動く読書と旅の間で、著者は生命の微光と陰影をこれほどまでに丹念に編集し、拡大する。まるで光と影のまだらを見つめることによってのみ、私たちはあの曖昧模糊とした生命の情景に何度も立ち返り、指の隙間から匆々と流れ去る、時間の砂の中の黄金を見抜き、取り戻せるかのようだ。『露光』は、見るという行為に関するある種の倫理を深く示している。美とは奪い取るものではなく、甘んじて「灼かれる」経験なのだと。 — 謝曉虹（香港作家）