【図1.~図3. ターコイズブルーのモロッコ山羊革に型押しと金箔を施した豪華な装丁】
【図4. ジョセフ・ウィリアム・ツェーンズドルフ(Joseph William Zaehnsdorf)装丁による『シビュラの葉』。表紙にはハミルトン・ブルース(Robert T. Hamilton Bruce, 1846~1899)の家紋が見られます。】
【図5. ウィリアム・ツェーンズドルフが手掛けた繊細なヘッドバンドの縫製。】
【図6. ツェーンズドルフ工房の金箔押し刻印。】
【図7. 『シビュラの葉』(Sibylline Leaves)のタイトルページ。】
【図8. 『シビュラの葉』(Sibylline Leaves)に収められた詩「老水夫の唄」の冒頭。】
【図9. 米国の友人であり詩人、画家でもあるワシントン・オールストン(Washington Allston, 1779~1843)が描いた、42歳当時のコールリッジ。】
著者:S.T. Coleridge (1772~1834)
書名:『シビュラの葉』(Sibylline Leaves)、308ページ(157~160ページ、279~280ページ欠損)。
出版:London: Rest Fenner, 1817。
技法:活版印刷。ターコイズブルーのモロッコ山羊革に型押しと金箔を施した豪華な装丁、三方金、オリーブグリーン色のアザミ柄金箔押し革の見返し、前見返しの下部には「Bound by Zaehnsdorf」の金箔押し文字。
年代:1817年。
サイズ:8vo(23 x 15 cm)(BO 58)。
サミュエル・テイラー・コールリッジ(Samuel Taylor Coleridge, 1772~1834)は、英国の著名な詩人、哲学者、批評家です。詩人としては、同時代のロマン主義詩人であるウィリアム・ワーズワース(William Wordsworth, 1770~1850)、バイロン(L. Byron, 1788~1824)、キーツ(J. Keats, 1795~1821)、シェリー(P.B. Shelley, 1792~1822)らに多大な影響を与えました。また、哲学者および神学者としては、理性と宗教の調和を試み、19世紀の英米観念論と英国広教会運動(Broad Church Movement)の重要な推進者となりました。
彼の最も知られた詩「老水夫の唄」(The Rime of the Ancient Mariner, 1798)は、英国ロマン主義文学の始まりを告げる作品とされています。この詩は、嵐に巻き込まれて南極海域に漂着し、後にアホウドリの導きで氷に閉ざされた海域を脱出した船乗りが、そのアホウドリを射殺したことから、船上の人々が様々な不運に見舞われる物語です。この物語は、ジェームズ・クック(James Cook, 1728~1779)の第二次航海探検(1772~1775)に着想を得ています。
この『シビュラの葉』(Sibylline Leaves)には、彼が1793年から1817年までに創作した最良の詩篇が収められています。いくつかの詩は以前に発表されていましたが、この詩集には、それまで未発表だった8編の作品と、彼の米国人の友人であり詩人、画家でもあったワシントン・オールストン(Washington Allston, 1779~1843)の詩が1編含まれています。1798年、ワーズワースと共に出版した『抒情歌謡集』(Lyrical Ballads)で「老水夫の唄」は初めて発表されましたが、コールリッジはその後も改稿を続け、この『シビュラの葉』の中で初めて最終稿として発表されました。これこそが、この詩集の価値を高める点と言えるでしょう。
本書の装丁は、ツェーンズドルフ(Zaehnsdorf)装丁工房によるものです。この工房は、ジョセフ・ツェーンズドルフ(Joseph Zaehnsdorf, 1816~1886)が1842年頃にロンドンで設立し、1947年まで家族によって経営され、数々の優れた装丁作品を生み出しました。ジョセフはシュトゥットガルトとウィーンの装丁工房で修行を積み、1837年にロンドンへ渡り、当時の王室装丁師ジェームズ・マッケンジー(James Mackenzie)に見出され、そのもとで学びました。1860年代には、ツェーンズドルフ工房はロンドンで最も精巧な装丁を手掛ける工房の一つとなります。1886年にジョセフが亡くなると、息子のウィリアム(Joseph William Zaehnsdorf)が事業を継承し、同時に装丁講座や展示スペースも開設しました。世紀末には、英国王エドワード7世(1814~1910)とジョージ5世(1865~1936)の御用達装丁師となりました。1920年代にウィリアムが引退すると、工房は息子のアーネスト(Ernest)に引き継がれ、第二次世界大戦後、この有名な工房は売却され、何度か所有者が変わった後、1988年にはロンドンの別の著名な装丁工房サンゴルスキー&サトクリフ(Sangorski & Sutcliffe)が引き継ぎました。
本書の装丁は、中に挟まれた手稿によると、ウィリアム・ツェーンズドルフが1894年に、スコットランド・グラスゴーの著名な商人、ハミルトン・ブルース(Robert T. Hamilton Bruce, 1846~1899)のために制作したものです。装丁の随所に、この商人のイニシャル「R.T.B.」が見受けられます。ウィリアム・ツェーンズドルフは、16世紀の蔵書家ジャン・グロリエ(Jean Grolier, 1479~1565)が好んだ幾何学的な帯状装飾から発展させた模様を前後表紙にあしらい、中央にはこの商人の家紋を型押ししています。馬の頭と銘文(Ride thro / Be Crew / By it we live)は、この商人の進取の精神を象徴し、アザミの図案は彼のスコットランド出身を示すもの(アザミはスコットランドの国花)です。このブルースもまた芸術収集家であり、バルビゾン派やハーグ派の作品を多数所有していました。今日でも、それらのコレクションは、彼のかつての邸宅であり現在は美術館となっているドーノックに収蔵されています。
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