秋刀魚 第40号 OSAMU GOODS 大人のカワイイ 両面表紙 ランダム発送

すべての喜びと悲しみが、人生のインスピレーションに 人の嗜好は、内なる自己を見つめ直すプロセスです。幼い頃、誰もがアニメキャラクターに「愛」を注ぎ、テレビアニメに夢中になったり、単にイラストキャラクターに魅了されたりしたことでしょう。子供時代を振り返れば、可愛らしいものに心を預けた瞬間がきっと見つかります。ハローキティ、クレヨンしんちゃん、鉄腕アトム……筆箱に貼られた一枚のステッカーや夜市で手に入れたぬいぐるみは、私たちと共に成長しました。ポップカルチャーは海の波のように、数年ごとにまた押し寄せます。一時的に思い出の箱にしまわれていたおもちゃも、今ではY2K世代のレトロブームとなり、スヌーピーやバッドばつ丸が突然また私たちの目の前に現れました。街角のコンビニエンスストアから空を飛ぶ航空業界まで、彼らのコラボレーションを目にする機会は増えています。子供の頃お小遣いでは買えなかったおもちゃが、大人になって給料で一つ一つコレクションとなり、数十年経っても、かつて私たちを笑顔にしてくれた可愛らしいものたちには抗えないのだと改めて気づかされます。 現在の「レトロ」も、実は当時の「流行」でした。そして、昭和、平成、令和と時代を跨ぐブランド「OSAMU GOODS」は、「レトロを先にストックしたおしゃれ」であり、日本のイラストIPが異分野の商業コラボレーションを展開する重要な種でもありました。元々、娘にセンスの良いプレゼントを贈りたいという思いから誕生し、イラスト業界を変革したこのブランドは、長年にわたり多くのファンクラブ会員を魅了してきました。商品開発を主軸としたブランド設定でありながら、商業的な距離感を感じさせないのはなぜでしょうか。かつてブランドデザイナーを務めた西部亜由美さんの「これは笑いも涙もある、人間味あふれるブランドなんです」という言葉を聞いて、私はハッとしました。いつも笑顔のぬいぐるみとは異なり、OSAMU GOODSのキャラクターは、まるで兄弟姉妹や自分自身を見ているかのようです。単なる可愛らしさだけでなく、心の状態を映し出す存在。このように生活を描写するイラストだからこそ、50年近く経った今でも、初めて出会ったのに昔からの知り合いのように感じる愛好者を見つけられるのでしょう。 本号では「大人のカワイイ」をテーマに、OSAMU GOODSの創設ブランド企画メンバーから、現在日本全国を巡回展示している企画チームまでを深く取材しました。1970年代から現在に至るまでの時代の断面を掘り起こし、ブランドデザイナー、イラストレーター、絵本作家たちが、どのように創設者である原田治氏に追随し、可愛らしさの原点を共に育んできたのかを解き明かします。原田治氏は2017年に他界しましたが、築地市場内には彼が残したイラスト学校「PALETTE CLUB SCHOOL」があり、日本のイラスト界の視野を変える次世代のアーティストを育み続けています。「大人のカワイイ」には個人の趣味も含まれます。後半では「大人のカワイイ部活」と題し、豆盆栽、プリン、自然派ワインといった、少しの苦味を帯びた「カワイイ」を、成熟した味わいの癒しの力として紹介します。また、イラストレーターの爽爽猫 by SECOND氏と紅林氏をお招きし、対談を実施。文具のカリスマ「キャシー」から、人気の「マレーバク」まで、台湾と日本のイラスト界の思い出を語り尽くします。 今回の特集には、ささやかなおまけがあります。それは、取材対象者へ「カワイイの定義」を尋ねるというもの。ある人は壁際の雑草、ある人は感情が素直に表れた表情、またある人は理想の自分を追い求めることだと答えています。原田治氏の名言「可愛そうと可愛いとは紙一重」のように、時には不機嫌な気持ちも可愛らしく映ることがあります。OSAMU GOODSの泣き虫キャラクター、BETTYが片方の靴をなくしても、見つかればそれで解決するのと同じように。願わくば、すべての良いことも悪いことも、人生におけるかけがえのない、可愛らしいインスピレーションとして存在してくれますように。