桃園アート論 Vol. 2

2024年4月に開館した桃園市児童美術館は、子ども向けの展覧会や関連する教育普及活動、国際フォーラムを通じて、すでに多くの注目と議論を集めています。国内外で児童美術館や子どものためのスペース、子どもをテーマにしたフォーラムが次々と設立・企画される中、子どもを博物館の主要な鑑賞者と位置づけ、子どもの参加を重視する様々な芸術文化活動が活発化しています。現在の博物館・美術館における子どもをテーマとした様々な企画や議論に対し、芸術創造や活動はどのように応えるのでしょうか。また、私たちはどのようにして、芸術家の創作理念と実践プロセスを通して、子どもに関連する多様な発想のテーマを導き出すことができるのでしょうか。 今号の特集「子どもの現像」は、台湾における子どものイメージの発展脈絡をたどり、当初は映像、特に写真、ビデオといった媒体を用いて2つの軸を計画しました。第一は、芸術発展の中で子どものイメージがどのように形成されてきたか、第二は、芸術家が子どもの想像力、創造力、そして遊びの可能性をどのように活用し、大人たちの思考の境界線を乗り越える作品を創造し、観客を導いてきたか、というものです。子どもの活動や遊びの様子を撮影することを得意とするフランスのビデオアーティスト、フランシス・アリスや、演出された子どもの写真を撮る周慶輝、桃園在住の写真家、呉永順、そして家族のスナップ写真の美学を解体する游本寬など、様々な映像作品の分析を通して、私たちは子どもを題材とする際の映像が抱えるジレンマ、曖昧さ、そして潜在的な政治性を考察することができます。これは、「桃美焦点」のコーナーで、桃園市立美術館がいかに子ども向け展覧会の企画や芸術的参加の拡大という命題の中で、深く展覧会テーマを分析・検討し、過去の芸術作品における子どもの受動的な役割を転換させ、子どもを展覧会や芸術創造の主役としようとしているかにも呼応しています。 今号では特別に新コーナー「紙上展覧」を設け、桃園在住の写真家、呉永順の作品を厳選し、テーマ性のある展覧会企画を展開します。特殊な紙に彩り豊かな印刷効果を組み合わせることで、読者の皆様が作品シリーズを深く読み解き、写真家の作品への理解を深めていただけるよう工夫しました。