微遍路のはじまり
二〇二〇年の冬、新型コロナの影響で十数年通い続けた台湾へ行けなくなった。
台湾と日本間の移動が生活の大部分になっていた当たり前の日常がストップし
て、僕は自分を見失いかけていた。そんな日々の中、かつて参加した台湾の宗教
まそらおじん
パレード「媽祖遶境※」を思い出した。
そしてふと浮かんだ企画が、自分の故郷・ 福井県を歩いて横断する旅だった。
日本では遍路、台湾では遶境と呼ばれる巡礼や修行で使われる「歩く」というア
びへんろ
プローチから発想を得たこの旅を僕は「微遍路」と名付けた。
旅のコンセプトは「負・荷・価値」。便利で効率が優先される時代にこそ、あえて「歩
く」ことで人や土地と深く関わる。その負荷こそが本当の付・加・価値になるという
思いをこの言葉に込めた。
旅のルールはシンプルだ。
➀ 一秒も乗り物に乗らない。
➁ 寝袋は持たず、自力で宿を見つけるか、誰かにお世話になる。
➂ 歩くスピードよりも、寄り道の数やそこにかけた時間を重視する。
自分の五感を使った精神実験のような旅、それは効率重視の世の中へのアンチ テーゼである。コスパ(コストパフォーマンス)、タイパ(タイムパフォーマンス) という言葉は近年とてもよく耳にするが、身体を使わずインターネットや AI にあ らゆることを任せてしまうボディパ(ボディーパフォーマンス)が問われるように なるのも時間の問題だ。金や時間に続いて、僕たちの身体までもが、効率化の波に
飲み込まれようとしている。そんな不安を感じている。
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