命を奪う不平等：社会の不公平はいかに私たちの健康を脅かすか / マイケル・マーモット 著

**健康は単にリンゴや薬の問題ではなく、個人のアイデンティティと社会的地位に関わる。** **世界の健康の公平性を推進する第一人者であるマーモット卿は、40年以上にわたる研究実績と事例に基づき、個人、社会、国家、そしてグローバルなレベルから、社会的不公平がいかに健康の不公平を引き起こすか、そしてその解決策を詳述する。** 西アフリカのシエラレオネ共和国では、15歳の女性21人に1人が生殖年齢のうちに分娩が原因で命を落とす。 イタリアでは、この数字は17,100人に1人だ。 米国では、医療費が世界中のどの国よりも高いにもかかわらず、その数字はイタリアをはるかに上回る1,800人に1人である。なぜだろうか？ 貧困だけが必ずしも健康悪化に繋がるわけではないが、不平等は人々を病気にする。どの国においても健康の不平等問題は社会的なグラディエントと密接に関連している。社会的な地位が低いほど、健康状態は悪化するのだ。 エンパワーメントされた社会と環境を創出することが、健康の不平等を減らし、ひいては個人の健康を改善するための鍵となる。人々が自分の生活に対して自主性を持ち、大切に思う生活を送る能力を持ち、健康的な選択を自由にできること。マーモットは人のライフコースを視点に、地方や国が改善策を策定するためのフレームワークとして6つの領域を提示する。それは、児童早期開発、教育と生涯学習、雇用と労働条件、健康的な生活を送るための最低所得、健康的で持続可能なコミュニティの構築、そして予防の役割と影響力の強化である。マーモットは、世界中の個人と社会の健康水準を著しく改善するためのツールと資源は我々が持っていると強調する。もし変えられるのに行動を起こさないのであれば、それは不公平の表れである。 本書は豊富な実例と統計を証拠として引用し、健康ひいては社会に対する私たちの見方を覆し、社会における健康の公平性を妨げる権力、金銭、資源の不均衡を解決するよう私たちを鼓舞する。 著者: マイケル・マーモット (Michael Marmot) 翻訳者:洪慧芳 ISBN:978-988-237-209-2 装丁:ソフトカバー 言語:繁体中文 ページ数:352 サイズ:229 x 152 mm **著者 | マイケル・マーモット Michael Marmot** ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン（UCL）疫学教授および健康公平研究所所長、香港中文大学健康公平研究所共同所長。世界医師会会長、世界保健機関（WHO）「健康の社会的決定要因委員会」委員長を歴任。40年以上にわたり、健康の不平等に関する研究チームを率いてきた。英国政府の要請により、英国の健康不平等の状況を検証し、2010年に有名な「マーモット報告書」—『Fair Society, Healthy Lives』（公正な社会、健康な生活）を出版。2014年にはWHO欧州地域事務所が執筆した彼が主導する『社会決定要因と健康格差に関する欧州報告書』（Review of Social Determinants and the Health Divide in the WHO European Region: Final Report）を発表。2017年にはチームと共同で『台湾健康不平等報告書』を執筆。2021年の最新研究報告書「Build Back Fairer: The COVID-19 Marmot Review」は、パンデミックの影響下にある英国の健康不平等の状況を振り返る。 個人著作には、『The Health Gap: The Challenge of an Unequal World』（Bloomsbury Press, 2015）、『The Status Syndrome: How Social Standing Affects Our Health and Longevity』（Bloomsbury Press, 2004）がある。 **翻訳者 | 洪慧芳** 国立台湾大学国際企業学科卒業、米国イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校経営学修士。シーメンス・テレコムおよびシティバンク勤務を経て、現在は専業翻訳者。翻訳書に『繁栄のパラドックス: ゼロ消費、存在しない市場からイノベーションの限界を突破し、新たなビジネスチャンスを見つける方法』（天下雑誌、2020）、『極端な不確実性: 未知の未来のための意思決定』（八旗文化、2020）、『意義: 豊かで深遠な人生へ』（時報、2018）などがある。 **推薦** この画期的な著作は、読者に世界各地の健康不平等の実態を示すだけでなく、社会における権力、金銭、資源の不均衡という問題に対し、具体的で実行可能な解決策を提示している。健康不平等に対する一般大衆の認識や態度は40年前とは全く異なるかもしれないが、今なお私たちを悩ませる難題は残っている。私たちは何ができるのか？ この著作は、健康不平等問題の解決策について考えるきっかけとなる最良の一冊だ。 ——段崇智教授、香港中文大学学長 バランスの取れた食事、十分な睡眠、不健康な嗜好品の回避、適度な運動は、一般常識の範囲内で健康に影響を与える重要な要素として認識されているかもしれない。しかし、社会疫学の研究者たちは、より多くのマクロ社会的な要因が上記の健康行動に影響を与えていることを発見した。言い換えれば、人の健康行動は単なる個人の選択ではなく、社会政策、体制、文化、価値観といった上位の環境要因によって引き起こされるのだ。そして、私たちが不公平な世界に生きているからこそ、異なる背景を持つ人々の間に健康格差が生まれる。問題は、社会の多方面に関わるこの根本的な問題は解決できるのか、ということである。 この著作において、長年にわたりこの分野の研究に取り組んできた現代のキーパーソンであるマーモット卿は、多国の事例を引用し、健康不平等の原因を分かりやすく解説し、この問題をなぜ解決しなければならないのかを論じ、具体的な解決策を提示している。これは、公平という理念を追求するすべての人、特に政策立案者にとって必読の書である。 ——鍾一諾博士、香港中文大学健康公平研究所副所長、香港中文大学生命倫理センター副所長 長年にわたるマーモットの研究は、驚くべき一連の重大な発見をもたらし、何度も新聞の一面を飾ってきた。それらの発見はすべて本書に収められており、驚くべき影響を与えている。ページをめくるごとに、「貧しい人ほど寿命が短く、不健康で、不幸になる可能性が高い」という情報が絶えず私たちに伝えられる……本書は、この現象の根底にある道理を、整理された明快な方法で探求する……しかし、マーモットがこれらすべてを明らかにする目的は、世界の終わりを告げることではない。その目的はむしろ逆である……これは、楽観的なトーンの良い本だ。 ——英国『インディペンデント』紙（The Independent） 私たちは健康に対する考え方を変えるべきだ。この新刊で、ロンドン大学のマーモット教授は、一般の人が富裕層と同じ機会を得られれば、寿命が8年延びることを明らかにした……私たちはもはや健康をライフスタイルの選択と見なすべきではなく、すべての人々のために正義のために戦い始めるべきだ。 ——英国『オブザーバー』紙（The Observer）