※革に命を吹き込む職人※
牛さんの残した革を感謝の気持ちで美しく、強い道具に生まれ変わらせる職人です。
ニューヨークのFITでファッションデザインを学ぶ。本人はどちらかというと内向的、マニアックな学者肌。
日本に帰国して企業デザイナーをし、ヒット商品もだす。ハイブランドチーフデザイナーを経て独立。長らくネットショップを運営し引退。
元来動物好きであるので保護犬を飼うが、とんでもなくやんちゃで、丈夫な首輪が必要になる。一番いいのは自分で作る事で、職人さんの指導の元で、首輪第一号が完成する。
初めて、本物の革の首輪がいかに上品で、高級感があり、丈夫であるかを見て非常に驚く。これが、革細工との出会い。
革を目の前にしたときは、本当にこの道ゆけるか?と思いました。目の前の革は命だったものです。さすがに心が引きつりました。
でも、私は、肉を食べます。よく考えると綺麗ごとは言えません。ベジタリアンになった時もあるほど動物好きです。じゃあなんで?肉食べるの?それは、私の体がもたなかったからです。ベジタリアンを続けて、魂が抜けました。がつん、がつんと前進するパワーが抜けたのです。
この経験から私は、ごめんなさい。私が生きてゆくために肉を食べます。と自分を説得。人類はサバイバルの歴史なんだよね、肉を食べ、前進あるのみ、なんです。
残った革には感謝を込めて、捨てることなく、精一杯の気持ちを込めて、作品にさせていただく、これが革細工の原点です。革細工をする私の隣には愛犬が寝ています。
それともう1点大事な事があります。少子高齢化といわれている日本、世界もですね。高齢者の在り方が問われています。いつまでも元気で、自立した高齢者、素敵ですよね。最後まで働きたい。それには手に職をつけるのが一番です。そしていつまでも若い人たちと会話ができるシニアでありたいです。
ここが自分をメンタルパンクのシニアと呼ぶところ。感性も衰えてはいない、好奇心もりもりです。
こうして革職人として第二の人生をスタートさせました。職人は生涯現役で働き続ける事ができるすばらしい職業であることを知ると同時に、物づくりの楽しさを改めて発見。
童心に帰り楽しくをもっとうに、自分らしさを革細工で表現する。ほぼ独学で革の下地作り、色づけ、パターン、手縫い、を伝統的技法で時間をかけて製品を作りだす。
作り手としては厳しい道ではあるけれど、ゆっくり堪能しながら物づくりをするのは非常に優雅で、贅沢な事であると思う。なるべく多くの人が使える、親しめる道具としての作品を作成してゆきたい。革という自然の恵みに感謝を込めて。
最後に、海を渡るとまだ戦い、差別、貧困があります。命の尊さを忘れずにいたい。若い世代の為に道を作ってゆきたい。
人生まんざらでもない、いろんな選択しがあって、いろんな可能性があるんだよって伝えたい。可能性は自分の中にあるんだよ、って